建設現場における創意工夫は、公共工事の工事成績評定によって評価されるため、各企業は必ず取り組まなくてはなりません。
取り組みのポイントは、建設現場での課題を解決し、業務効率化や生産性と安全性の向上を図ることです。

1.建設現場における創意工夫とは

建設現場における創意工夫とは、現場で起こる課題を解決し、業務効率化や生産性と安全性の向上を図る取り組みのことです。
たとえば企業によるサービスや技術力の向上、ICTの活用や現場周辺地域への配慮、あるいは環境問題へ対応するためのアイデアも含まれます。
創意工夫は、公共工事の工事成績評定(※)によって評価されるため、各企業は必ず取り組まなくてはなりません。
以下のような項目で「工夫している」と評価された場合、1項目につき1点が加点されます。

  • 準備・後片付け関係
  • 施工関係
  • 品質関係
  • 安全衛生関係
  • 施工管理関係
  • 新技術活用

なお新技術活用について、NETIS(※※)登録技術を活用して効果が出た場合には3点の加点となります。

(※)工事成績評定とは:公共工事において施工体制、品質、施工管理、出来栄えなどの項目を評価し、採点する制度。工事の請負業者の能力を数値化する制度であるため、高得点を目指す必要がある。
(※※)NETIS(New Technology Information System:新技術活用情報システム)は、国土交通省が運用する新技術のデータベース。

2.建設現場における創意工夫の取り組み方


建設現場における創意工夫の具体的な取り組み方として、以下の6項目が考えられます。
それぞれを詳しく解説します。

①i-Constructionの推進

i-Constructionとは、ICTを活用した測量や設計、施工、管理など、建設現場における全プロセスの生産性向上を目指す取り組みのことです。
i-Constructionは、国土交通省が導入を推進し、建設現場のICT化を進めています。

生産性向上の好例を横展開するために、国道交通省は「インフラDX大賞(旧i-Construction大賞)」を開催し、各社のICT活用による建設現場での創意工夫を評価しています。

たとえば埼玉県内の街路整備工事では、ICT施工や3次元設計データを導入。
各種埋設物を3次元モデル化することで、支障箇所の発見や問題点の抽出につながりました。
その結果、協議・合意形成の効率化や手戻りの防止が実現し、インフラDX大賞を受賞しています。

参考:インフラDX大賞 受賞取組 概要(工事・業務部門)|国土交通

②ドローンによる測量

ドローンによる測量も、創意工夫の加点対象となる可能性があります。
近年ではドローンを使って写真測量やレーザー測量を実施することで、詳細な地形データを収集できるようになりました。

測量で収集したデータから3Dモデルを作成することで、正確な地形情報を取得でき、建設計画を効率的に進められるようになります。
従来の地上測量や航空機による測量よりも、時間やコストを削減できる点がメリットです。

たとえば北海道千歳市の道路工事では、ドローン測量を導入。
デジタルデータを活用し、3D設計とICT建機による施工に取り組んだ点が創意工夫につながったと評価されました。詳しくは「②ドローンやICT建機を活用|千歳市 泉郷改良工事」をご覧ください。

③遠隔臨場

発注者や施工管理者が、ネットワークカメラなどを使い、現場から離れた場所から段階確認や材料確認、立ち会いを行うことです。
遠隔臨場を採り入れることで、現場に行く必要がなくなるため、移動時間を大幅に削減できる点がメリットです。複数現場と本社を何往復もするといったこともなくなります。

移動時間がなくなることで、業務効率化はもちろん残業時間の削減にもつながるため、建設業の2024年問題対策としても注目が集まっています。

④ARの活用

AR(Augumented Reality:拡張現実)を建設現場で活用することで、デジタル情報を現場の風景と重ね合わせ、工事情報や完成形をスムーズに確認できるようになります。

たとえば大手ゼネコンの清水建設株式会社は、生産性向上を目的に「AR技術『地下埋設物可視化システム』」を開発。
現場の風景画像にタブレット端末をかざすと、地下埋設物をAR技術で投影して「見える化」 した創意工夫の事例です。
詳細は「③ARを活用した地下埋設物可視化システム|清水建設株式会社」をご覧ください。

⑤カーボンニュートラル対応工事の実施

地球環境に配慮した創意工夫も求められるようになり、建設現場における脱炭素化、カーボンニュートラルの取り組みが始まっています。

2021年、国土交通省が「対象モデル工事」を募集し、カーボンニュートラルの取り組みを評価した事例が見られました。具体的には、低炭素・低燃費の建設機械の平均使用台数率が50%を超えると、「創意工夫」に1点加点されます。

また脱炭素社会・グリーン社会の実現に貢献するため、大手ゼネコンの鹿島建設株式会社では、環境配慮型コンクリートの製造に成功。
コンクリート製造時にCO2を排出するのではなく、大気中のCO2を減少させる技術を実現しています。詳しくは「④環境配慮型コンクリート|鹿島建設株式会社」をご覧ください。

参考:建設現場における脱炭素化が始まります|国土交通省

⑥施工管理アプリによる業務効率化

施工管理アプリとは、建設や土木の現場において、工程表や日報、施工写真や図面などの施工管理業務を一元管理できるアプリのことです。

パソコンだけでなくスマートフォンでも利用できるため、現場でパソコンを開けなくても最新の図面や工程表を手早く確認できるようになります。
施工管理アプリの導入や活用もまた、創意工夫のひとつだといえるでしょう。

たとえば埼玉県の総合建設会社「金杉建設株式会社」では、施工管理アプリ「現場クラウドConne」を導入。
従来、各現場の担当者にメールや書類での報告を求めていましたが、非効率な作業や報告のムラがあることが課題でした。
しかしアプリ導入によって情報共有が効率化し、生産性が向上しています。
詳細は「①施工管理アプリでスムーズな情報共有が実現|金杉建設株式会社」をご覧ください。

施工管理アプリのなかにはチャットなどコミュニケーションツールが搭載されているものもあり、工事関係者との円滑な意思伝達にも貢献します。

関連リンク:無料版あり|建設現場で活躍する代表的な施工管理アプリ7選を徹底比較

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3.建設現場における創意工夫の事例

ここからは、建設現場における創意工夫の具体事例を紹介します。

①施工管理アプリでスムーズな情報共有が実現|金杉建設株式会社

埼玉県の総合建設会社「金杉建設株式会社」において、現場の業務効率化を目的として施工管理アプリ「現場クラウドConne」を導入した事例を紹介します。

公共工事において複数の現場監理を担当する「特例監理技術者」制度ができたことで、同社はさらなる業務効率化を図る必要に迫られていました。

課題解決のため、施工管理アプリで現場単位のスペース(現場関係者が参加し、コミュニケーションを行う場)を作成。
自社の従業員だけでなく、協力会社の担当者もアプリ利用に招待し、必要な情報共有を効率的に進められるようにしています。

関連リンク:金杉建設株式会社 – Conne導入事例

②ドローンやICT建機を活用|千歳市 泉郷改良工事

北海道千歳市の道路工事現場(千歳市 泉郷改良工事)では、ドローンによる3D測量、ICT建機による施工などの創意工夫を凝らしながら、i-Constructionを実施しました。

3D測量によって、測量工程の大幅な期間短縮に成功。
経験の浅いオペレーターでもICT建機の活用で精度良く仕上げることができ、高い工事品質を確保できました。

また安全性の大幅な向上、建機の燃費向上によるCO2削減効果など、さまざまな手応えを得られたといいます。

参考:i-Construction の取組事例|国土交通省

③ARを活用した地下埋設物可視化システム|清水建設株式会社

大手ゼネコンの清水建設株式会社は、AR技術を使った「地下埋設物可視化システム」を開発しました。
同システムの使い方は、次のとおりです。

1. 建設現場の担当者はタブレット端末とアンテナ(位置検知システム)を持って現場に行く
2. タブレット端末の画面に、地下埋設物のリストが自動表示される
3. リストから確認したい埋設物を選ぶと、図面と自分の位置が表示される
4. タブレットを使って地面を見ると、AR技術で地下埋設物のラインが地面の上に映し出される

タブレットの位置や角度を変えると、地面に映し出される埋設物のラインが自動調整されます。
誰でも使いやすいシステムの活用で地下埋設物の位置情報を手早く取得でき、生産性向上につながります。

参考:地下埋設物可視化システム|清水建設

④環境配慮型コンクリート|鹿島建設株式会社

大手ゼネコンの鹿島建設株式会社は、環境問題に関する創意工夫として「環境配慮型コンクリート」の製造に世界ではじめて成功しました。

コンクリート製造には大量のCO2発生を伴います。
しかし同社は、コンクリートが固まる過程でCO2を吸い込み、貯めてしまう技術開発を実現しています。
鹿島建設のWebサイトでは、「一般的なコンクリートと同等以上の強度を発揮。
また、要求されるレベルに応じた設計も可能」と述べられています。

参考:環境配慮型コンクリート「CO2-SUICOM®(シーオーツースイコム)」|鹿島建設

⑤デジタルデータを用いた鉄筋出来形管理|山陽建設株式会社

広島県の建設会社「山陽建設株式会社」は、業務効率化を目的に、デジタルデータを用いた鉄筋出来形管理に取り組んでいます。

鉄筋組立完了時の確認で、デジタルデータを活用した鉄筋出来形計測を実施。
これにより、遠隔臨場時でも配筋ピッチなどをタブレット上で目視確認できるようになりました。
従来と比較して3分の1の省力化につながり、立会時間待ちも解消されたといいます。

同社は、受発注者間で工事情報を共有できるシステム「現場クラウドOne」を導入。
帳票や写真台帳を自動作成でき、遠隔臨場完了後に立会調書を手早く発注者に送信可能となりました。

参考:建設現場における遠隔臨場 取組事例集(第二版)|国土交通省

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4.建設現場の創意工夫は情報共有のデジタル化から始めよう

建設現場では、複数の会社と協力してプロジェクトを進める必要があります。
しかし、「電話やメール、FAXで図面などの最新情報を共有するのが難しい」など、コミュニケーションに課題を抱える現場も少なくないでしょう。

情報共有やコミュニケーションの仕方を工夫し、効率化するために、建設業向け施工管理アプリ「現場クラウドConne」のようなデジタル製品の活用もおすすめです。

①機能・特長

「現場クラウドConne」には、主に以下6つの機能があります。直感的に使いやすい画面なので、パソコン作業が不慣れな人でもすぐに慣れることができるでしょう。

現場クラウドConneの主な機能
スペース 部署や現場関係者ごとに集まってコミュニケーションを行う専用スペースを作成できる。タスク管理、トーク機能などが利用可能
ドライブ クラウド上でのファイル管理や大容量ファイルを共有できる。バージョン管理やデータ検索機能なども利用可能
スケジュール 重機や機材、社員、現場の予定をリアルタイムで共有できる。現場や個人のスケジュールが一覧表示される
チャット 社内外のConneアカウントを持つ相手と、テキストや絵文字スタンプなどを使ってコミュニケーションが取れる
案件管理 案件を登録し、進捗状況を一覧化して管理できる機能
ワークフロー 社内の稟議書や承認作業を自動化する機能。オプションで利用可能

②サポート体制

システム導入後のサポート体制も充実しています。社内への浸透、継続的な活用、日常業務における操作まで、以下の3つの軸でサポートを提供します。

充実のサポート体制
専任スタッフによるサポート体制
  • 操作方法の案内だけでなく、業務改善のための有効な活用方法を検討し、運用を継続的にサポート
  • Conne利用開始後も、業務改善のパートナーとしてサポートが提供される
  • 困った時にはConne上で専任スタッフにいつでも質問が可能
充実したサポートコンテンツ
  • 動画マニュアルで、各機能の操作方法を簡単に確認できる
  • Conneの画面上に表示されるチャットボットを利用すれば、知りたい情報にすぐに辿り着くことができる
  • FAQやマニュアルも用意されており、詳しい使い方の参照が可能。
定期的なバージョンアップ
  • 利用ユーザーからの要望を反映して、毎月2回以上のバージョンアップを実施
  • サービスは常に最新の状態に保たれ、利用企業のニーズに応える形で進化を続けている

5.まとめ

本記事では、建設現場での創意工夫の重要性と実践例を紹介しました。

ドローンやICT、ARの活用など、多様な取り組み事例を挙げましたが、「施工管理アプリの導入」は、比較的取り入れやすい選択肢だといえるでしょう。

弊社が提供する「現場クラウドConne」は、企業、現場、協力企業間の情報共有をスムーズにして、現場監督の負担を軽減します。関係者全員の作業を円滑にする、建設業特化型のコミュニケーションツールです。

建設現場の業務効率化を実現するツールをお探しの方は、現場クラウドConneの活用をぜひご検討ください。

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