建設業において「人工(にんく)」や「人工代」は、工事の見積もりや予算管理、工程管理に不可欠な要素です。これらは工事の効率性やコスト管理に直結するため、正確に理解して計算することが重要です。

本記事では、建設業の責任者の方に向けて、人工や人工代の基本的な考え方、計算方法、単価の目安について解説します。加えて、人工代の取り扱い方や、アプリを活用して工程や見積もり、請求書を効率的に管理する方法もご紹介します。

1.建設業における人工・歩掛とは


建設業における「人工(にんく)」とは、「1人の作業員が1日(8時間)でこなせる作業量」を表す単位です。
人工を知るには、歩掛(ぶがかり)という用語についても理解が必要です。

歩掛とは、「工事における1つの作業にかかる手間」を数値化したものです。工事で使う技術や難易度によって、歩掛の値は変わります。

一般的なアルバイトであれば、1日あたりの人件費は「時給×働いた時間」で計算可能ですが、工事作業にかかる労務費は、働いた時間をもとに計算しても正確な費用を導き出すことができません。その理由は、同じ時間働いても、工事で使う技術や難易度によって作業量が異なるからです。

ここまでの内容をまとめると、以下のとおりです。

  • 「人工」=「1人の作業員が1日(8時間)でこなせる作業量」を表す単位
  • 「歩掛」=「工事における1つの作業にかかる手間」を数値化したもの

次に、人工の計算方法について詳しく見ていきましょう。

2.建設業における人工の計算方法

人工は、以下の計算式で導き出すことができます。

人工=(1人×作業時間)÷8時間

たとえば、「マンションの一室に、網戸を取り付ける」という、作業員1人あたり2時間かかる作業があるとしましょう。この作業量は、次のように算出することができます。

<例1:工事における1つの作業にかかる手間「歩掛」を数値化する>

(1人×2時間)÷8時間=0.25人工

「網戸取り付け作業1回あたりにかかる手間」を算出できました。これが、「歩掛(=0.25人工)」です。

この網戸取り付け作業を、4部屋に対して施工する必要があり、計4回行うとしましょう。

<例2:1人の作業員が、1日(8時間)でこなせる作業量「人工」を数値化する>

4回行う際の人工=0.25×4回=1人工

この計算式によって、4部屋に対しては1人工(=8時間)かかるとわかりました。

このように、1つの作業ごとにかかる手間を数値化していくことで、見積もりの根拠を提示でき、正しい労務費を把握できるようになります。建設業における労務費は、歩掛に数量や、作業員ごとの報酬単価をかけることで算出できます。

また、工程表を作成するときにも役立つでしょう。

各建設関連会社で歩掛を求めるには、国土交通省の「公共建築工事標準単価積算基準」を確認したうえで、標準歩掛を参照する必要があります。

3.建設業における人工代とは

「人工代(にんくだい)」とは、1日仕事をして発生した人件費のことを指します。技術力なども含めた1日あたりの金額のため、作業した時間が2時間でも8時間でも、金額は変わりません。

①人工代の計算方法

人工代の計算方法は、次のとおりです。以下の計算式で1日の人件費を求められます。

<例>
1日3万円の人工代で、2人が作業した場合

1日の人工代は、3万円×2人=6万円

②請求書の書き方

人工代を請求する場合の、請求書の書き方を見てみましょう。

人工代に関する以下の項目を請求書に明記します。

● 取引日
● 品目(具体的にどのような作業をしたか)
● 単価
● 数量
● 金額

③人工代の取り扱い方

続いて、人工代の取り扱い方について解説します。

建設会社が常用工に対して人工代を支払う場合、一般的に外注費として取り扱うことになります。

しかし、場合によっては「給与」として取り扱うべき場合もあるので注意が必要です。具体的には、以下のケースは「給与」とみなされる可能性があります。

● 仕事を依頼している常用工との間で雇用契約を締結している場合
● 自社の指揮監督のもとで常用工に仕事を進めてもらっている場合

「給与」で支払うべきところを「外注費」として取り扱ってしまった場合、追加徴税が発生する恐れがあるため、仕事を依頼する側の建設関連会社は注意しましょう。判断が難しい場合には、税務署などの専門家に相談するのがおすすめです。

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4.建設業における人工代の単価の目安

ここまで読んで、「人工代の単価の目安は?」と気になった方もいるのではないでしょうか。

人工代の目安を確認したいときには、国土交通省が公表している資料「労務単価」を確認してみると良いでしょう。

2024年3月適用の労務単価は、次のとおりです。

出典:令和6年3月から適用する公共工事設計労務単価について|国土交通省

平成25年度(2013年)以降、全国全職種の平均労務単価は12年連続で上昇しています。ただしこれはあくまで目安であり、作業の難易度、職人の経験年数、資格の有無などによって人工代は異なります。

5.人工代の請求書や工程は施工管理アプリConneで共有しよう

この記事では人工や人工代の計算方法について解説してきました。人工を計算することで、工事にどれくらいの手間がかかるかを把握できるようになるので、工程表の作成を進めやすくなります。また人工代は、請求書や見積書の作成に必要不可欠です。

これらの情報をすべて紙で管理している場合、大規模建設プロジェクトでは管理する人数や工数が多く、手間がかかり、間違いも起こりやすくなります。

そのような課題を解決するには、「施工管理アプリ」の活用がおすすめです。その一例が、施工管理アプリ「現場クラウドConne」です。

関係者のスケジュールやタスクを可視化、スマホアプリを使ってどこからでも日報を作成・送付できるので、工数管理に取り組みやすくなります。社外の工事関係者をアプリに招待してデータ共有でき、請求書など書面のやり取りが簡単になる点もメリットです。コミュニケーションや情報共有が円滑になり、ペーパーレス化や業務効率化を促進できるでしょう。

①【導入事例】社内の情報共有がスムーズに|株式会社富久

株式会社富久では、「現場クラウドConne」を活用することで社内の情報共有が大幅に改善されました。

現場監督はどこからでも作業者の予定を調整でき、工程管理が容易に。その結果、現場の業務に集中できるようになり、帰社後の相談時間も削減されたそうです。

また、関係者に連絡を送信する際、「既読状況」の確認もできるので、コミュニケーションが円滑になって作業の段取りがしやすくなったといいます。

株式会社富久の導入事例はこちらから >>

②【導入事例】請求書の確認作業が迅速化|株式会社植松建設

株式会社植松建設でも「現場クラウドConne」を導入した結果、請求書の共有や確認作業が迅速になりました。

現場担当者は素早く請求書を確認でき、事務担当者もその日のうちに作業を完了できるようになって、確認漏れやミスが減少。仕事のスピードが向上したそうです。

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6.まとめ

本記事では、建設業における人工と人工代について詳しく解説してきました。

人工と人工代は見積書や請求書の作成に必要不可欠な要素であるため、できる限り正確に算出する必要があります。

たとえば新規で見積を作成する際、過去のプロジェクトの見積をすぐに参照できる状況を作っておくと、業務効率化できます。「この作業は、これぐらいの単価で見積もりを作れば良いんだな」など、過去の単価実績をすぐに参照できるからです。

とくに現場数やプロジェクト数の多い会社では、データの蓄積、共有、透明化が業務効率化のカギとなるでしょう。関係者間でドキュメントをわかりやすく共有するために、建設業に特化した情報管理ツール「現場クラウドConne」の活用もぜひ検討してみてください。

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