「施工管理の人手が足りない」「人手不足にずっと悩まされている」
まさに今、このような課題を抱えている建設関連会社の責任者の方も少なくありません。
なぜ多くの会社において、施工管理の人手不足が起きてしまうのでしょうか。

本記事では、その理由を紐解くとともに、施工管理の人手不足解消に向けた具体的なアプローチや実践事例を紹介します。

1.建設業の人手不足の現状

はじめに、建設業界全体で見た人手不足の現状について解説します。

建設業で働く人は、1997年(平成9年)のピーク時以降、減少傾向にあります。国土交通省の資料によると、1997年には685万人の就業者がいましたが、2022年(令和4年)には479万人にまで落ち込んでいます。

その一方で、建設投資額はピーク時(1992年・平成4年)の約84兆円から、2010年(平成22年)には一旦、42兆円にまで半減したものの、その後は増加傾向に転じ、2022年には約67兆円となっています。

つまり、建設需要が増加している状況のなか、人手不足が進んでいる現状があります。
とくに、施工管理の人手不足は深刻化しています。

参考
建設業を巡る現状と課題|国土交通省

①施工管理の人手不足が深刻化している

続いて、施工管理にフォーカスして人手不足の状況を見てみましょう。

2024年3月、株式会社リクルートが報告した建設業の求人・転職動向によると、施工管理の求人は2016年と比べて約5倍、転職者数は約3.8倍に増加していることがわかりました。建設需要が増加する一方で、施工管理の人手不足がより一層、進んでいると考えられます。

施工管理の人材不足が慢性化してしまうと、以下のような複数の課題が生じることになります。

  • 現場で適切な指示ができない
  • 案件を受注できない
  • 工事品質が低下する

参考
建設業界に迫る「2024年問題」「施工管理」求人、2016年比で5.04倍に増加|株式会社リクルート

関連リンク
建設業の人手不足の現状と原因、対策とは?データを用いて解説

2.施工管理の人手不足は当たり前といわれる理由

建設業全体で、施工管理の人手不足が続いているのは、なぜなのでしょうか。?
主に次の6つの理由が挙げられます。

①厳しい労働環境

建設業に従事する人の多くは、日々、肉体労働をしなくてはなりません。
施工管理は管理業務が中心であるものの、工事現場へ毎日足を運ぶ必要があります。

工事現場は、冷暖房の効いたきいたオフィスのような環境ではありません。夏の暑さや、冬の寒さにさらされながら、粉塵・騒音も伴いつつ、屋外で長時間働くといった環境です。

そのような労働環境のなか、身体的な疲労が蓄積して不調が続くと、離職を考える人もいると考えられます。

②高齢化

建設業で働く人の数が全体で減っているだけでなく、高齢化も進んでいます。

建設業就労者のうち55歳以上の人は、2022年時点で35.9%でした。
これは全産業の31.5%よりも高い割合です。

また、全体の約4分の1(25.7%)を60歳以上の技能者が占めていて、10年後には大半が引退を迎えると考えられます。

企業は今後の人材確保に向けて対策を講じなければ、施工管理を含めて建設業の人手不足がさらに深刻化する恐れがあります。

参考
建設業を巡る現状と課題|国土交通省

③若手不足

高齢化と同時に、若手不足も起きています。

建設業に従事する29歳以下の人の割合はわずか11.7%しかいません。さらに、新規高卒者の早期離職率は42.4%で、産業全体の37.0%よりも高い状況です。

今後、若手人材を確保できなければ、ベテランの施工管理からの知見・ノウハウ継承が行われず、円滑な世代交代が難しいと懸念されます。

参考
建設業を巡る現状と課題|国土交通省

④長時間労働と休日出勤

施工管理は仕事量が多く、長時間労働や休日出勤が求められるケースも少なくありません。
その理由として、工事現場の隅々まで常に目を配りながら、以下のような複数の業務を遂行しなければならない点が挙げられます。

  • 工程管理
  • 原価管理
  • 品質管理
  • 安全管理

施工管理は、工事の遅延や予算オーバーを防ぎ、品質を保って安全に施工を進められるよう、現場の技能者のマネジメントを行う重要な役割です。
中小企業などで施工管理の人数が少ない場合には、施工管理1人あたりにかかる負担が増大します。

1人で重い責任を引き受け、時間外労働も多い場合にはプライベートの時間が圧迫されます。
公私のバランスがうまく取れなくなると、離職を考えてしまう人もいると考えられます。

⑤女性にとって魅力的な職場環境か

業界全体で女性の採用が進んでいない点も、人手不足が長期化している一因だといえます。

そもそも、建設業で働く女性の数は少なく、一般社団法人日本建設業連合会の「建設業デジタルハンドブック」によると、就業者中に占める女性の割合は2023年時点で次のとおりです。

  • 建設業全体…18.2%
  • 技能者…2.7%

全産業における女性の割合は45.2%であることから、非常に低い割合だといえます。

建設業で女性の比率が低い理由として、以下の課題が挙げられます。

  • 現場に女性専用トイレ・更衣室などがなく、女性が働きやすい職場環境が整っていない
  • 妊娠・出産・介護休暇を取りづらく、ライフステージの変化に合わせた職場復帰ができない

このような職場環境を背景に、女性の施工管理が少ないことも、人手不足が長く続いている要因だといえるでしょう。

関連リンク
建設業で働く女性が少ない理由とは。割合や取り組み、事例を紹介

⑥出張・転勤が多い

施工管理の仕事は、工事によって現場の場所が変わるため、出張・転勤を命じられる場合もあります。
とくに大手企業の場合、日本だけでなく海外の工事を担当する場合も想定されます。

単身赴任で家族と離れ離れになる、赴任先を選べず不慣れな場所に行く可能性もあるなど、出張続きで疲弊が続き、プライベートとのバランスが取りづらくなると、離職・転職を考える人もいると考えられます。

また、深夜工事などで夜勤を伴う場合もあります。
業務負荷が高く、生活が不規則になりやすいといった点も、長期的な人手不足の一つの要因だと推測されます。

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3.施工管理の人手不足を解消するための対策

施工管理の人手不足を解消するために、建設関連企業は具体的にどのような対策を行うべきなのでしょうか?
ここでは、次の4点を紹介します。

①週休2日制を前提とした工期設定

建設現場では、「週休2日制」を意味する「4週8閉所」の取り組みが進められています。
この「4週8閉所」を各現場で実践することを前提として考え、著しく短い工期で発注・受注しないこと、工事の進捗・取り組み状況を可視化することが重要です。

工事日程や資材調達など、適正な期間確保を徹底し、施主と工事請負者の間で合意形成ルールを明確に定めましょう。

②若者や女性が働きやすい職場づくり

若者や女性が働きやすく、施工管理としてキャリアアップを目指せる職場づくりに取り組みましょう。

  • 現場に女性専用のトイレ・更衣室などのスペースを設置
  • 出産・育児・介護休暇後の復職をサポートするなど、福利厚生制度の充実化
  • 教育体制を整え、若手を育成
  • 女性比率が高い職域「建設ディレクター」を導入、施工管理業務のサポートを依頼

上記の例を参考に、自社の従業員のニーズを考慮しながら取り組みを進めてみましょう。

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③残業時間の管理

残業時間を適切に管理し、短縮を図ることも重要です。

働き方改革関連法の改正によって、建設業でも2024年4月より時間外労働に上限が発生するようになっています。

労使間で36協定を締結していても、時間外労働は原則「月45時間・年360時間」、特別条項では「複数月の平均80時間、年720時間以内」が上限となりました。

違反した場合には罰則が科されるので、人材確保だけなく法律遵守の観点でも、残業時間管理への対応が必須です。

残業時間の短縮には、出退勤時間を管理しタイムカードの代わりとなる「勤怠管理アプリ」のほか、次項で解説する「施工管理アプリ」の活用もおすすめです。
業務のデジタル化推進によって、効率向上を図ることができます。

④施工管理アプリの利用

施工管理の業務効率化や労働時間の短縮を実現するために、ITツールの導入も有効です。

たとえば、建設業に特化した「施工管理アプリ」の活用を検討してみましょう。
施工管理アプリとは、日々の現場で必要な書類、図面、写真、各種資料・データなどをパソコン、スマートフォン、タブレットからまとめて管理できるツールです。

同じアプリ上で、現場のスケジュール管理や人員・機材設備管理も完結します。
施工管理職だけでなく、すべての工事関係者が、同じ情報に素早くアクセスできるようになります。

施工管理アプリを使うと、パソコンはもちろん、スマートフォンやタブレットを使ってどこからでも最新の資料にアクセスでき、工事関係者からのメッセージも確認できます。

現場からわざわざ事務所へ戻って紙のメモやスケジュールを確認するといった手間を省くことができ、業務効率化と労働時間短縮に貢献します。

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無料版あり|建設現場で活躍する代表的な施工管理アプリ7選を徹底比較

4.施工管理アプリの導入事例

施工管理アプリを導入して、現場の業務効率化・生産性向上を実現した2つの事例を紹介します。

①現場に集中できる環境づくりをサポート|株式会社本山建設

総合建設業「株式会社本山建設」では、会議を減らし、現場に集中できる時間を増やすために施工管理アプリ「現場クラウドConne」を導入しました。

以前は、進捗状況共有のための工程会議が、現場担当者の負担になっていました。

そこで、「現場クラウドConne」を活用して、現場の進捗状況を常にアプリ上で確認できるようにしました。

株式会社本山建設

アプリでリアルタイムに情報共有ができるようになったので、毎週行っていた工程会議をやめることができ、現場に集中できるようになったそうです。

式会社本山建設様の事例はこちらから >>

②社内の情報共有が促進|株式会社白海

土木・しゅんせつ工事を行う「株式会社白海」でも、施工管理アプリ「現場クラウドConne」を導入しています。

以前は業務連絡やスケジュール共有など、さまざまなITツールでバラバラに管理していましたが、必要な情報に手早くアクセスできず、無駄な手間に悩まされていました。

そこで、情報共有のためのツールを「現場クラウドConne」だけに絞りました。

工事関係者は、連絡事項やスケジュール確認の際に「現場クラウドConne」だけを見れば良くなったので、複数のツールを起動する手間がなくなり、情報共有がスムーズになったそうです。

株式会社白海

式会社本山建設様の事例はこちらから >>

5.まとめ

本記事では、施工管理の人手不足が起こりやすい理由について詳しく解説してきました。

建設関連企業で人手不足が当たり前の状況に陥らないためには、従業員視点で働きやすい環境づくりを進めることが、非常に重要だと考えられます。

ひと口に「働きやすい環境づくり」といっても、以下のようなさまざまな施策が考えられます。

  • 週休二日制の実施
  • 福利厚生の充実
  • キャリアアップのための教育制度充実

本文中でも述べたように、「ITツール導入による業務効率化・円滑化」は比較的手軽に取り組むことができ、ツール運用が軌道に乗れば従業員が業務改善の効果を大きく実感しやすい施策だといえます。

弊社が提供する施工管理アプリ「現場クラウドConne」は、工事関係者間での情報共有の円滑化を大きく後押しするアプリです。

まずは無料からお試しいただけるので、気軽にお問い合わせください。

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