建設業界では、高齢化の進行と担い手不足が喫緊の課題となっています。さらに、現場でのコミュニケーションの偏りや、口頭・電話が主流の連絡手段による非効率性も指摘されています。このような状況は、従業員のエンゲージメント低下や離職にも繋がりかねません。
本記事では、現場サポートで実際に行った調査を引用しつつ、建設業におけるコミュニケーションの実態を深掘りし、その課題を解決するためのヒントを探ります。日々の業務を効率化し、より良い職場環境を築くために、クラウドサービスなどのITツールがどのように役立つのかについても、具体的な事例を交えながらご紹介します。
目次
建設業が抱える「担い手確保」という喫緊の課題
国土交通省が2023年に発表した「建設業を巡る現状と課題」では、建設業就業者の高齢化の進行と、担い手不足の深刻さが改めて強調されました。

出典:建設業を巡る現状と課題|国土交通省
いっぽうで、公共工事設計労務単価は11年連続で上昇、一日あたりの賃金は過去11年で25.4%の伸び率で上昇していることや、建設キャリアアップシステム・CCUSといった取り組みのすそ野が着実に広がっているというプラスの側面も取り上げられました。
しかし、いまだに全産業と比較して建設業の年間の労働時間は長く、週休2日制(4週8休以上)の採用状況もわずか8.8%(民間工事は5.0%)にとどまるなど、「魅力的な職場づくり」という観点では引き続き課題が残ります。

出典:建設業を巡る現状と課題|国土交通省
魅力的な職場の要素はいくつもありますが、そのなかには「職場のコミュニケーション」も挙げられます。現場サポートでは建設業のコミュニケーションに着目してアンケート調査を実施いたしました。その結果をいくつか抜粋してご紹介します。
直属の上司や同じ部署・チームの現場の同僚とはほぼ毎日コミュニケーションするも、「他部署・他現場の社員」では「ほとんどない」ケースも
現場サポートでは、2025年5月に建設業(建築・土木)に従事する20代~50代の経営者、会社員598名に対し、「建設業における働き方に関する実態調査」を行いました。その中から、職場のコミュニケーションに関する調査を抜粋してご紹介します。

日々の業務においてコミュニケーションを行う相手ごとに、その頻度を聞いたところ、「直属の上司」「同じ部署・チーム・現場の同僚」は「ほぼ毎日」という回答がそれぞれ49.2%、55.4%と半数近くとなりました。
一方で「他部署・他現場の社員」では32.1%、「本社・支店の管理部門(事務等)」では43.8%、「経営層・役員クラス」では47.5%が「ほとんどない」と回答。建設業では現場単位でコミュニケーションが完結するケースも少なくありません。結果的に、やり取りをする相手が偏ってしまい、「ほかの現場の社員が何をやっているか知らない」といった状態になっていると推測されます。
職場のコミュニケーション方法は7割が「口頭」「電話」。ITツール活用は3割に留まる。

業務上のコミュニケーション方法は「対面での会話・会議(朝礼・夕礼、現場定例会議、KY活動など含む)」が70.7%、「電話(携帯電話・固定電話)」が70.2%と、圧倒的に口頭・電話がメインとなっています。次いで「Eメール」が52.2%。
「社内SNS・ビジネスチャットツール(Slack, LINE WORKS, Conneなど)」は34.4%、「Web会議システム(Zoom, Google
Meetなど)」は21.2%にとどまりました。建設業では、まだまだ口頭や電話でのコミュニケーションが多くなっています。
こうした状況では「言った・言わない」といったトラブルも多くなります。また、工事日程の変更や作業内容の変更などがちゃんと伝わっているかの「確認」にも手間がかかります。メールで送った後に電話で確認するといったケースも、よく耳にします。
電話をする方も手間ですし、受ける方も煩わしいと感じてしまうかもしれません。
「上司や同僚に気軽に相談できる」のは約半数。50代では半数を切る

続いて、コミュニケーションのしやすさについて聞きました。
「上司や同僚に気軽に相談できる」という質問に対し「そう思う」「ややそう思う」と回答した人の合計は54.5%でした。年代別に見ると50代では49.2%となり半数を下回りました。
また「自分の意見やアイデアが言いやすい」については20代が49.4%であるのに対し、50代では40.0%と差が見られました。50代のベテラン社員は職場のコミュニケーションについて窮屈さを感じている様子が垣間見えます。
また「そう思う」だけの数字を見ると、「上司や同僚に気軽に相談できる」は20.4%、「他部署との連携がとりやすい」は12.0%、「会社全体として一体感がある」は11.0%と低い数値になりました。
こうした結果から、風通しがよいとは言い切れない建設業の実態が見受けられます。
本当の退職理由トップは「人間関係」。
ここで他社の調査にも目を向けてみます。
エン・ジャパン株式会社が2024年に発表した「本当の退職理由」調査(2024)によると、退職時に、本当の退職理由を伝えなかった方は半数以上。本当の退職理由トップは「人間関係」であることがわかりました。


出典:「本当の退職理由」調査(2024)|エン・ジャパン株式会社
会社に言わなかった本当の理由は「人間関係が悪い」がトップで、次が「給与が低い」「会社の将来性に不安を感じた」となっています。
人間関係が悪化する理由はさまざまあり、いちがいに「これが原因」とは言えないのですが、そのひとつに「ディスコミュニケーション」があります。ディスコミュニケーションとは、コミュニケーションそのものが十分に行われないことです。コミュニケーションが円滑に行われないことによって、周囲が何を考えているのか、自身が必要とされているのか、自信が持てなくなってしまうのです。ディスコミュニケーションは見えないところで、組織を蝕んでいきます。
現場監督だけではなく社員全員で情報共有。情報の見える化で主体性を育み、チームワークが向上!
ここで、ある企業の事例を紹介します。「現場クラウドConne」を導入し、情報の見える化に取り組まれた事例です。動画もありますので、ぜひご覧になってください。
尾崎建設さまは、社内のコミュニケーションの取り方や、情報共有不足に課題を感じておられました。そこで、「現場クラウドConne」を作業員を含む全社員に導入。
それまでは現場監督までしか共有されていなかった情報を、今では社員が全員平等に見られるようになっています。そうすることで、社員の主体性にも変化が現れてきていると言います。
たとえば、同社では「安全管理」というスペース(情報をやり取りできる掲示板のようなもの)をConne上に用意し、全社で共有しています。PCやスマホでどこにいても、それが閲覧できる環境を整えています。そこで安全パトロール担当が、救急箱の包帯の劣化について投稿したところ、その投稿を見た事務職員がすぐさま業務の合間に補充用の包帯を購入し、現場代理人に連絡を入れたという一幕がありました。こうした動きはConneを導入するまでなかったと言います。
また、同社ではConneで「ありがとう掲示板」というものを作成しており、些細なことでも感謝しあえる組織づくりに一役買っています。
ともすると、建設業は現場で顔を見合わせる人としかコミュニケーションがない場合も少なくありません。その場合、ディスコミュニケーションに陥ってしまう可能性があります。スマホ1つで会社の状況を知れるConneのような情報共有ツールを導入することで、周りのことが見えやすくなり、コミュニケーションが円滑に進み、チームワークも取りやすい組織づくりを実現することが可能になります。
建設業向けクラウドサービス「現場クラウドConne」

「現場クラウドConne」は、建設業に特化したコミュニケーションサービスです。PCやスマホで、社内・社外に関わらずさまざまな情報共有が可能です。ITが苦手な方も安心なシンプル設計で、利用開始から運用まで専任スタッフがしっかりとサポートします。
職場の見える化はもちろん、ペーパーレス化やDXにもご活用いただいております。画面をお見せしながらのデモや無料トライアルもありますので、お気軽にお申込みください。
現場クラウドConneの詳細はこちら >>
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まとめ
今回は建設業のコミュニケーションというテーマで、調査データをいくつか抜粋・引用して建設業の現状について解説させていただきました。エン・ジャパン株式会社の調査は、建設業に限ったものではありませんが、建設業の場合でもあてはまるはずです。皆さまも、同じような感情を抱いたことがあるのではないでしょうか。
「現場クラウドConne」は、スマホアプリにも対応しているため、どこでも気軽に社内の情報をチェックしたり、連絡を取り合ったりできます。これはチームワークを高めるのみならず、いざというときの危機管理にもなります。会社の状態を可視化することで、何か起こった時にでも迅速に行動し支えあえる──。そんな安全な職場づくりにも効果を発揮します。この機会に、職場のコミュニケーション手段を見直してみてはいかがでしょうか。
また、今回の記事でご紹介しきれなかった詳細な調査結果をまとめた「建設業の働き方に関する実態調査レポート」をご用意しています。他社のコミュニケーション実態や課題解決のヒントをより深く知りたい方は、ぜひ以下のリンクよりダウンロードしてご活用ください。