大規模な自然災害の発生や感染症のまん延など不測の事態が起きた際、事業を中断させない、あるいは、できるだけ早期に復旧させるための対策を企業として策定できているでしょうか?
このような対策のことを「BCP(事業継続計画)対策」といいます。本記事では、建設業におけるBCP対策の重要性や策定しておくメリット、策定の手順について紹介します。
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目次
1.建設業における事業継続計画(BCP)とは
2.建設業における事業継続計画(BCP)の策定状況
3.建設業が事業継続計画(BCP)を策定するメリット
4.建設業が事業継続計画(BCP)を策定する手順
5.建設業の安否確認・BCP対策につながるアプリ「現場クラウドConne」
6.まとめ
1.建設業における事業継続計画(BCP)とは
まずは、BCPに関する基礎知識や、建設業において重要な理由について紹介します。
①事業継続計画(BCP)とは
事業継続計画(Business Continuity Plan)とは、大地震をはじめとする自然災害や感染症のまん延など、不測の事態が起こっても重要な事業を中断させない、または、中断しても可能な限り短期間で復旧させるための方針や体制・手順を含めた計画を指します。
BCPは、事業が災害などで深刻なダメージを受けても、なるべく早く復旧して重要な業務を継続させる目的で策定します。そのため、BCPは深刻なダメージが生じた場合を前提に作ることが重要です。
企業は、継続が必要な業務をあらかじめ絞り込み、継続のための計画や対策を立てておく必要があります。さらに、企業内で計画を共有し、改善・運用していく取り組みも重要だといえるでしょう。
②建設業で事業継続計画(BCP)が重要な理由
建設業において、BCPは重要です。その理由は、大規模震災などの災害時に、建設会社は公共インフラなどの復旧工事や支障物撤去を通じて、社会活動の回復の役割を担うためです。
今後30年以内に、南海トラフ地震が70〜80%の確率で発生するといわれています。また、気候変動の影響で台風や河川氾濫などの事例も数多く見られます。
このような大規模災害に備え、迅速な復旧活動が可能になるよう、二次災害の防止に向けた事前の取り組みが重要視されているのです。とくに、現場は常に地域と密着して活動を行っているため、災害時に周辺地域の救助活動にも貢献できるでしょう。
建設会社は、災害時の復旧活動に積極的に関わることが社会から期待されていることを前提に、計画を立てる必要があるといえます。
③防災マニュアルにBCPの視点を加えることが大切
BCPの策定にあたり、防災マニュアルにBCPの視点を加えることが重要です。
多くの建設会社では、作業員の安全確保や機器・資材の保護などが防災マニュアルで検討されているでしょう。加えて、事業継続への取り組みも盛り込んで作成する必要があります。
つまり、単なる防災ではなく、重要な事業が停止することで関係者に及ぼす影響など、経営視点も考慮しながら、事業継続や復旧時間の短縮化への取り組みを考えることが求められています。
2.建設業における事業継続計画(BCP)の策定状況
内閣府による調査から、建設業におけるBCPの策定状況を見てみましょう。
出典:令和 5 年度 企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査|内閣府
2023年時点で、建設業のBCP策定率は63.4%でした。金融・保険業の76.6%、運輸業・郵便業の66.2%に続いて高い割合となっています。
前年度の52.8%と比べると10ポイント以上増加しており、各地で起こる地震や新型コロナウイルス感染症のまん延を受けたことによる、意識の高まりがうかがえます。
3.建設業が事業継続計画(BCP)を策定するメリット
続いて、建設業において事業継続計画(BCP)を策定する2つのメリットについて紹介します。
①事業活動の復旧までの時間を短縮できる
建設業でBCP対策を行うことで、災害などの発生後、事業活動の継続や早期復旧が実現しやすくなります。
一方、BCP対策を行っていない場合には、復旧に時間がかかり事業停止や顧客離反の恐れもあるでしょう。最悪のケースでは、廃業に至ることも考えられます。とくに、初動対応の安否確認で遅れをとると、その後の災害対策本部の設置や被災状況の把握、復旧活動などすべての工程が遅くなってしまうでしょう。
経営リスクを回避するためには、BCP対策が重要だといえます。
②社会的信頼性が向上する
BCP対策を行うことは、社会的信頼の向上につながると期待できます。
災害時にとるべき行動を事前に計画して社内共有を徹底しておくことで、事業資産の損害を最小限に抑え、事業継続や早期復旧が実現しやすくなるでしょう。また、被災地域の復旧活動にも貢献することで、地域社会からの信頼も高くなるといえます。
一方、対応が遅れて事業継続ができなければ、自社だけでなく取引先・協力会社にまで影響が及び、企業としての評価が低下するリスクが考えられます。
4.建設業が事業継続計画(BCP)を策定する手順
ここからは、建設業において事業継続計画(BCP)を策定する手順について紹介します。5つのステップに分けて見ていきましょう。
STEP1.企業に大きなダメージを与え得る災害リスクの特定
まずは、事業継続に大きなダメージを与え得る災害リスクの特定をしましょう。
具体的には、南海トラフ巨大地震、重要事業所近辺での直下型大地震、河川氾濫、新型インフルエンザのまん延などが想定されます。
STEP2.重要な事業の決定
災害直後、優先して継続すべき事業を決定しましょう。
たとえば、施工中の現場の安全確保、従業員や関係者との連絡、インフラ復旧工事対応などが考えられます。
重要な事業に対し、STEP1で挙げた災害リスクがどのような影響を与えるかを検討します。さらに、事業再開までの目標時間も決めておきましょう。
STEP3.従業員や取引先の安否確認の方法を決定
従業員や取引先の安否確認方法について検討しましょう。
大規模災害時には、電話回線が混雑してつながらないケースも想定されるため、電話以外の連絡方法も決めておくことが推奨されます。
たとえば、普段の業務で施工管理アプリを利用している場合、アプリのグループチャットに安否確認のメッセージを一斉配信することで既読確認ができ、安否確認を迅速に進められます。事前に検討しておき、いざという時にすぐに安否確認を行える体制を整えておくことがポイントです。
STEP4.二次災害の防止対策の実施
二次災害を防止する対策も必要です。
たとえば、地震発生後に火災が起こった場合には、消火活動だけでなく、構造物倒壊のチェック、燃料を含めた危険物質の流出がないかなども確認しなくてはなりません。
二次災害を想定し、対応方法も決めて文書化してあらかじめ社内で共有しておくことが重要です。
STEP5.重要な書類のバックアップ
STEP4.までの内容を含めて計画を策定し文書化した後、クラウドに保存しておきましょう。
災害時、事務所が被災してしまったら紙の書類は消失・汚損などにより読めなくなる可能性も考えられます。重要なデータの閲覧ができなければ、事業継続が難しくなるリスクも考えられます。
そこで、クラウドにデータを保存しておくことが大切です。インターネット接続があればスマートフォンからもBCP関連の資料をチェックできるため、初動対応が迅速になると期待できます。
また、普段から図面や現場資料、契約書、財務資料、連絡先などの重要書類もクラウドにバックアップをとっておきましょう。
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5.建設業の安否確認・BCP対策につながるアプリ「現場クラウドConne」
安否確認やBCP対策に役立つツールをお探しの方には、施工管理アプリの利用をおすすめします。
施工管理アプリとは、建設業の業務に特化したアプリです。重要なデータをひとまとめに管理でき、関係者間でコミュニケーションをとることも可能になります。事務所以外の場所からも、インターネット接続さえあればパソコン・タブレット・スマートフォンから業務関連の書類やデータにアクセスできる環境を構築できる点が特長です。
「現場クラウドConne」は施工管理アプリの一つで、安否確認・BCP対策に役立つ複数の機能を利用できます。以下は機能の一例で、まずは無料プランから利用をはじめることが可能です。
●関係者間での一斉連絡
●既読確認による安否確認の時間短縮
●書類・図面・写真など、データのバックアップ機能
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①【事例】災害に備え図面やBCPに関する資料をクラウド保存|株式会社富久
ここでは、BCP対策を目的の一つとして「現場クラウドConne」」を導入した企業の事例をご紹介します。
建設業および一般廃棄物収集運搬業を行っている株式会社富久様では、図面などの現場に関する書類のほか、BCP関連の資料も日頃から「現場クラウドConne」に保管しています。
同社では災害に備えてBCP訓練を定期的に実施しており、訓練に関連する資料も「現場クラウドConne」に保管し、関係者がすぐに確認できる体制を整えています。
6.まとめ
本記事では、建設業におけるBCP策定の重要性や、策定のポイントなどについて紹介しました。
人手不足で日頃の業務に追われ、「なかなか非常時の対策が万全に整っていない」と課題を感じている企業もあるかもしれません。
本記事で紹介した施工管理アプリ「現場クラウドConne」は、まずは無料プランから利用開始が可能です。書類やデータをまとめてアップロードしておくことで、BCP対策の第一歩を手軽に踏み出していただけます。関係者間での一斉連絡機能なども、導入後すぐに使い始めることが可能です。
従業員・関係者の誰にとってもわかりやすく、シンプルなアプリとなっています。利用を検討したいとお考えの企業様は、どうぞお気軽にお問い合わせください。