出面(でづら)管理とは、工事現場での作業員の出勤状況を把握して適切に管理することを指し、工程管理において重要な作業です。しかし、紙やエクセルによる出面表の作成は時間がかかり、しばしば誤りも生じます。

この記事では、建設現場での出面管理の意味や重要性を解説しながら、効率的な出面管理におすすめのアプリ6選を紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

1. 工事現場における出面管理の意味とは

出面管理(でづらかんり)とは、工事現場に出入りする作業員を管理することを意味します。
以下の項目を記録しておくことで、作業員の給与計算や勤務状況、工事の進捗状況の把握などに役立ちます。

●誰が
●いつ
●どの現場で
●何時間働いたか

なお「出面」は、一般的に「顔を出す、出席する」という意味で使われますが、工事現場では「作業員の出勤日数」を指します。

①出面表とは

出面管理には、「出面表」が用いられます。出面表とは、作業員の勤務状況を記録する書類のことです。

出面表は、適切に作成・管理を行うことで以下に挙げる4つの役割を果たします。

●賃金管理
●労務管理
●安全管理
●新人教育

次の表で、4つの役割の概要を見てみましょう。

役割 概要
賃金管理 建設業界では、一人親方など下請け業者との契約に「請負契約」と「常用契約」が使われ、「常用契約」では決められた時間内にかかった人件費を支払うことになる。
「誰が」「どのくらい働いたか」を確認するために、出面表が利用される。
労務管理 労働基準法では労働者を雇い入れると、「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」をあわせた「法定三帳簿」の作成が義務付けられている。
工事現場で日頃から出面表で出勤状況や作業員の氏名を記録しておくことで、「法定三帳簿」の作成時に参照できる。
安全管理 出面表は工事現場の「無災害記録」としての役割もある。 無災害記録とは、現場で災害が起こった翌日から、無災害がどれだけ続いているかをカウントした日数のこと。
一定の無災害記録に対して厚生労働省より記録証が交付される。
新人教育 出面表は新人教育でも活用されることがある。出面表の作成は、工事現場の作業工程を把握するうえで役立つため。以下のような課題を考える練習になる。
(例)
「1日何人の作業員を配置すれば工期通りに完了するか?」
「効率的に進めるには、どの施工工程を改善する必要があるか?」

2.工事現場における出面表の作成方法

工事現場で使用される出面表の作成方法には、主に3つの手段があります。それぞれの概要とメリット・デメリットを紹介します。

①紙

従来、出面表は紙で作成するのが一般的でした。作業員が現場に出入りする際に、氏名や入退場時間を手書きで記録する方法です。

紙での運用は、シンプルで誰でも対応できる点がメリットですが、一方で紙自体を紛失してしまう恐れもあります。

また、紙に手書きされた情報(日数や、時間など)を労務管理・賃金管理の目的で集計・分析するには、データをPCに入力しなければなりません。作業員が現場で出面表を記入して、その後さらに事務員がPCに同じデータを入力する必要があり、二度手間が生じ非効率といえるでしょう。

②エクセル

エクセルでの出面表作成は、多くの工事現場で導入されています。

出面表のテンプレートを入手すれば、担当する現場に最適な書式になるよう少し手を加えるだけで比較的簡単に作成が可能です。また紙で管理する場合と比べて、表計算(日数や時間に関するデータの集計)が容易になります。

しかし、毎日確実にエクセルのフォーマットに入力するには、工事現場にPCを用意するか、現場と事務所を往復してPCを利用する必要があります。そのため、バックオフィス業務に時間がかかってしまう点がデメリットです。

③アプリ

最近では、紙やエクセルの代わりに、スマートフォンやタブレットからアプリを使って出面管理を行う方法が注目されています。

出面管理を行えるアプリでは、たとえば以下のような機能を利用できます。

出面管理に便利なアプリの機能例
日報作成機能 作業員が作業場所や進捗状況など、簡単に日報を作成・記録できる機能
労務管理機能 アプリから勤怠打刻ができ、労務状況をリアルタイムで確認できる機能
賃金管理機能 労務管理データに基づき、支払賃金を自動計算する機能
資機材管理機能 重機や資材などの利用情報を共有できる機能」
コミュニケーション機能 テキストや画像・動画を送付して、工事現場の進捗状況を共有できる機能
スケジュール機能 誰が、いつ、どこで作業しているかを共有できる機能

アプリの導入や利用にはコストがかかりますが、便利な機能を活用することで、大幅な業務効率化や従業員の負担軽減を期待できます。

3.工事現場の出面管理に使えるアプリの種類

続いて、工事現場の出面管理に活用できるアプリについて詳しく見ていきましょう。大別して以下の2タイプがあります。

①出面管理に特化した専用アプリ

出面管理に特化した専用アプリでは、スマホによる勤怠打刻が可能になるほか、勤怠の集計、集計データを活用した支払業務ができます。

勤怠管理システムとして活用でき、労務状況をリアルタイムで把握することが可能です。

②幅広い機能を持つ施工管理アプリ

すべての施工工程で必要な情報を一元管理できる「施工管理アプリ」も、出面管理に活用できます。このタイプのアプリは「工事現場で必要な業務すべてを効率化したい」と考えている企業におすすめです。

出面管理には主に「日報作成機能」や「スケジュール共有機能」を活用できます。さらにアプリによっては、以下の機能も利用可能です。

●ドライブ機能…写真や図面、書類をまとめて管理・共有できる
●ワークフロー機能…各種申請書や稟議書のオンライン化が実現する
●コラボレーション機能…社内だけでなく協力会社とも連携できる

施工管理アプリの導入だけで、さまざまな業務フローをオンライン化できるようになるため、大幅な業務効率化を期待できます。

無料版あり|建設現場で活躍する代表的な施工管理アプリ7選を徹底比較

4.出面管理に「施工管理アプリ」を利用するメリット

出面管理に「施工管理アプリ」を利用するメリットについて、さらに詳しく見ていきましょう。

①1つのアプリで複数の機能が利用可能

1つのアプリを導入するだけで、さまざまな業務フローをデジタル化できる点がメリットです。

施工管理アプリには、出面管理だけでなく現場作業に必要な機能がまとめられているので、複数のアプリを導入する必要がなくなります。

一方、出面管理に特化したアプリは、データバックアップのためのツールや、協力会社との連絡ツールが別途必要になり、コストがかさんでしまいます。

また工事現場ではITツールに抵抗のある人も少なくないため、1つのアプリに機能がまとまっている方が利用しやすいでしょう。

②出面管理の業務効率化

出面管理にアプリを活用すると、大幅な業務効率化を図れます。

紙やエクセルによる出面表の作成は、大規模な工事になるほど人数が多くなり、記録漏れがあるなど、集計に手間がかかっていました。

そこで、出面管理に利用できるアプリを作業員のスマートフォンにインストールしておけば、各自の手元で簡単に勤怠情報を入力してもらえます。会社にとっては、管理画面からリアルタイムで一元的に把握が可能です。

また、ほかの作業員のスケジュールや、重機の使用スケジュールなども同時に可視化できるため、工事計画の立案も効率化できるでしょう。

③ミスの減少

アプリでは簡単な操作で勤怠情報を入力できるため、紙やエクセルでの出面管理と比較してミスを低減できます。

また、紙は紛失してしまう恐れがあります。エクセルは、ファイルをPCにローカル保存しても、何らかの事情でPCやサーバーが故障すれば、出面データが破損するリスクがあるでしょう。

しかし、クラウド型のアプリなら勤怠データはクラウド上に安全に保存されます。スマートフォンやタブレット、PCなど、デバイスを問わずいつでも同じデータにアクセスできる点もメリットです。

④残業時間の削減

アプリを導入すると、残業時間の削減も期待できます。

工事現場から離れた場所にある事務所で、紙やエクセルを使って出面表を管理している場合、作業員は記録のたびに現場と事務所を往復しなければなりません。

しかし、スマートフォンアプリから出退勤や工事の進捗状況、日報を報告できれば、どこにいても対応可能です。事務所と現場を往復する時間がなくなり、残業時間の短縮につながるでしょう。

>>工事現場の出面管理が効率化する『現場クラウドConne』はこちらから!

5.【無料版も】工事現場の出面管理におすすめのアプリ6選

続いて、工事現場の出面管理におすすめのアプリ6選を紹介します。

アプリ 現場クラウドConne SiteEye 出面管理サービス 日報365 ダンドリワーク 勤CON管 アイピア
対象企業規模 中小 中小 中小 中小 中小 中小
無料トライアル デモ有 デモ有
初期費用 0円 33万円〜 0円 20万円〜 要見積 12万円〜
ランニングコスト 1万円/月〜(ID:20名) 4,800円/月〜(10ユーザー) 要見積 1.98万円〜/月 1ユーザーあたり100円〜/月 1万円〜/月(5ユーザー)
機能の種類
サポート体制

※弊社で確認できた範囲です。詳細は各企業にお問い合わせください。

①現場クラウドConne

出典:現場クラウドConne 公式ホームページ

特徴

● 現場や個人の予定を登録でき、繰り返し予定や、期間予定も登録可能 ● 現場のホワイトボードで確認していた情報を、スマートフォンやタブレットでも確認・共有できる ● 出面管理に特化した機能はないが、従来のExcelで作成したデータを共有することで、出勤や進捗状況などの管理に利用されている

費用

無料トライアル
初期費用 0円
ランニングコスト 1万円/月(ID:20名まで)〜

お客様の声

●現場の進捗状況が簡単に把握できるようになりました
●現場監督だけでなく、作業員も同じ情報にアクセスできるので、作業の段取りなど、個人の考えや改善のアイデアを生かせる環境づくりができました

②SiteEye 出面管理サービス

出典:出面管理サービス|ADK富士システム株式会社 公式ホームページ

特徴

●クリック操作などで直感的に使えるシンプルな画面
●スケジュール機能で、日報から実績工数や労務費を自動で集計
●手配計画も自動化できる

費用

無料トライアル
初期費用 33万円〜
ランニングコスト 4,800円/月〜(10ユーザーまで)

お客様の声

●誰がどの現場にいるのかを一目で把握できるようになりました

③日報365

出典:建設業向け日報・出面システム「日報365」公式ホームページ

特徴

● 作業員や車両・資機材の「手配」から⼯数・出⾯などの「集計」までを一元管理 ● 出面データをもとに作成した作業日報をスマホで作成・承認。スマホ画面上で手書きサインができる ● 出面入力はプルダウンで簡単に選択可能

費用

無料トライアル デモンストレーションの機会有
初期費用 0円
ランニングコスト 要見積

お客様の声

●自動でデータが集計されるので、集計作業時間の短縮につながりました
●日々の出面は、スマホから入力するだけ。本社と現場を往復する手間や、提出遅れがなくなりました

④ダンドリワーク

出典:ダンドリワーク 公式ホームページ

特徴

●施工現場に必要な情報や、図面などの資料すべてをクラウド上で一元管理できる
●現場ごとの受発注を可視化し、経理の作業負担を軽減
●コメント機能には「既読ボタン」を搭載。未読者を特定しやすい

費用

無料トライアル
初期費用 20万円〜
ランニングコスト 1.98万円〜/月

お客様の声

●紙による現場管理をデジタル化でき、業務がスムーズになりました
●エクセルをはじめ、LINEやチャットワークなど多数のソフトを使っていましたが、1つのツールにまとめることができました

⑤勤CON管

出典:勤CON管|あさかわシステムズ株式会社 公式ホームページ

特徴

● 現場ごと、作業ごとに工数管理が可能 ● 工事に費やした集計の自動化 ● 36協定に関わる時間外労働時間を管理し、超過の場合はアラート表示あり

費用

無料トライアル
初期費用 要見積
ランニングコスト 1ユーザーあたり100円〜/月

お客様の声

●紙の管理と比べて、使いやすく作業効率が上がったと好評です
●iPadやスマートフォンで、どこからでも勤怠管理を行えるようになり、業務効率化が大きく進みました

⑥アイピア

出典:アイピア 公式ホームページ

特徴

●エクセルに近い操作感で、使い方を覚えやすい
●入力された日報から労務費を簡単に計算・計上できる
●書類、図面、写真などすべてのデータを工事情報や顧客情報に紐づけて管理できる

費用

無料トライアル デモンストレーションサイト有
初期費用 12万円〜
ランニングコスト 1万円〜/月(5ユーザーまで)

お客様の声

●案件発生から請求、締めまですべて一元管理できるシステムである点が、導入の決め手になりました
●事務作業の急増を効率化し、ペーパーレス化したいと思っていました。事務作業にかかる時間を3分の1にまで削減できました

6.工事現場の出面管理に使用できるアプリの選び方

工事現場の出面管理に使用できるアプリを比較検討する際のポイントをお伝えします。具体的には以下5点に着目すると良いでしょう。

①必要な機能が使えるかどうか

アプリを比較検討する際に、まずは自社が求める機能を洗い出してみましょう。

出面表に記入が必要な項目や、出面管理の方法は会社によってさまざまです。現場によっては、日報を出面管理として活用しているケースも見られます。

アプリごとに搭載されている機能は違うので、自社のニーズに合う機能を搭載したアプリを選ぶことが重要です。

②ITツールが苦手な人も使いやすいか確認する

ITツールが苦手な人にも受け入れられるように、アプリの使い勝手の良さを確認しましょう。

PCやスマートフォンを使い慣れていない作業員もいる場合、せっかくアプリを導入しても、途中で使用されなくなる懸念もあります。

画面表示がシンプルでわかりやすく、誰にとっても使いやすいアプリを選ぶことが大切です。

③実績や口コミを確認する

アプリの導入実績や、クチコミをチェックしてみましょう。
アプリの公式ホームページに、導入実績やクチコミが掲載されているケースも多く見られます。実績やクチコミを調べるときは、以下の点に着目すると良いでしょう。

●自社と同じような規模の企業が導入しているか
●導入企業が、以前に抱えていた課題はどのようなものか
●導入によって、実際に課題解決されたか
●評価は高いか

④充実したサポート体制があるか

アプリが社内に浸透し、関係者に継続して使ってもらえるようにするためには、導入後のサポート体制も重要です。

導入時だけでなく、運用フェーズでも専任スタッフによるサポートや導入後の説明会で活用法の提案を受けられると、自社に最適な活用方法がわかり、安定運用が実現するでしょう。

7.アプリを使用した出面管理なら現場クラウドConne

「現場クラウドConne」は、作業員の出勤状況や現場の進捗だけでなく、現場の作業全般を管理できるアプリです。たとえば、以下の機能を使って現場全体の様子を把握できます。

⚫︎チャット機能:出勤や進捗状況を画像・動画付きで報告できる
●スケジュール・タスク管理機能:誰が・どこで・何の作業をしているかを可視化。施設・車両・機材の使用も予約できるので、誰が・何を・どこで使っているかもすぐにわかる
●コラボレーション機能:協力会社ともチャットや予定を共有できる

予定ごとに色分けしたり、現場の予定を並べて確認したりできるため、現場の状況を効率的にリアルタイムで把握でき、関係者間のコミュニケーションが円滑になります。

また、オプションで「ワークフロー機能」も活用すると、各種申請書や稟議書の起票〜決裁をオンライン化でき、バックオフィス業務のペーパーレス化が大幅に進みます。

①【導入事例】出面確認や日報共有でドライブを利用|福山総合建設株式会社

福岡市に拠点を置く建設会社「福山総合建設株式会社」では、事務員による出面確認や日報の共有に「現場クラウドConne」のドライブ機能を活用しています。

従業員はいつでも、どこからでも文書や日報を確認できるようになり、情報の透明性が向上。さらに会議時間の短縮や新入社員の教育にも寄与しています。

さらに、情報共有の観点でISO審査員からもConneの使用が高い評価を受けるなど、組織力の強化につながった事例です。


>>福山総合建設株式会社の導入事例はこちらから>>

②【導入事例】作業員や機材の予定を可視化|株式会社丸建技術

鹿児島に拠点を置く建設会社「株式会社丸建技術」では、電話やホワイトボードを使用して作業員や機材のスケジュールを管理していましたが、手間がかかる点が課題でした。そこで効率化を図る目的で、「現場クラウドConne」を導入しています。

Conneのスケジュール管理機能により、作業の割り当てと機材の管理作業が迅速化され、スケジュール調整が容易になったといいます。


>>株式会社丸建技術の事例はこちらから >>

まとめ

工事現場における出面管理には、重要な役割があります。しかし従来のような紙やエクセルでの運用では、事務作業に時間を取られてしまうのが難点です。

そこでアプリを導入して出面管理のペーパーレス化を図り、同時にほかの資料もクラウドに保存すると、関係者間で情報共有が迅速になり、報告にかかる事務作業時間を短縮できます。

一方で、いきなり出面管理システムを導入しても使われない可能性もあります。現場クラウドConneであれば、これまで作成してきたExcelの共有方法を変えるだけなので導入ハードルが低く、実際に効率化を実感している方もいます。

少しでも働きやすい職場環境を目指して、一歩ずつ改善していきましょう。

>>工事現場の出面管理が効率化する『現場クラウドConne』はこちらから!

SNSでシェア