建築や土木工事を施工するためには、さまざまな専門知識や技術が必要です。
それを実現するために、多くの建設会社が「協力会社」をビジネスパートナーとして活用しています。

本記事では、ビジネスパートナーとしての協力会社の概要から具体的な探し方、選定ポイント、さらには信頼関係を築くための方法、協力会社との情報共有に使えるツールまで詳しく解説します。

1.建設業界における協力会社とは


協力会社とは、発注者(施主)から建設業務を請け負った元請業者が、業務の一部を依頼する委託先のことです。

そもそも建設業界は、次のようなピラミッド構造で成り立っています。

  • 発注者
  • 元請
  • 下請


元請は「ゼネコン」と呼ばれる大手総合建設業者になることが多く、下請は「サブコン」と呼ばれることがあります。サブコンである下請は、3次下請まで及ぶこともあります。

元請が発注者から建設業務を請け負った場合、通常はすべての業務を自社だけで遂行することは困難です。そのため、専門的な技術や人材などを保有する下請、すなわち協力会社に発注することになります。

このように、建設業界において協力会社の能力は不可欠です。
したがって単なる「下請」ではなく「ビジネスパートナー」として捉え、共同で事業を進める姿勢が大切だといえるでしょう。

①協力会社が必要な理由

建設業界において、協力会社が必要な理由をさらに深掘りしていきましょう。重要なポイントとして、建設産業における生産の特性が挙げられます。

建設産業では、受注してはじめて工事の規模や内容が明らかになることがあます。
工事によって必要な職種や作業員の数は異なるので、最大の工事量を前提とした人材や機材の確保が本来であれば求められるでしょう。

しかし長期的に人材や機材を最大限確保しておくことは、建設関連企業にとって大きなコスト負担です。また工事量は発注者の経営状況や方針、景気に左右されがちな点も懸念されます。

そこで建設現場の管理・監督者としての「元請」と、現場で施工を行う「下請」で成り立つ分業関係を基本とした、ネットワーク型の構造が形成されるようになったのです。

このようなネットワークを駆使することで、元請が受注した工事の量や内容に応じて、必要な人材や機材を調達できる仕組みとなっています。

2.建設業界における協力会社の探し方

ここからは、協力会社を探し出す4つの手段を具体的に紹介します。

①自社ホームページに掲載する

1つ目は、自社ホームページに「協力会社を探している」という旨を記載しておくことです。たとえば以下の項目を掲載しておき、連絡を受け付けます。

  • 募集中の工種
  • 申込の資格要件
  • 提出書類
  • 審査
  • 応募・問い合わせ先

さらに、協力会社と仕事を進めるうえで大事にしたい方針や、考え方なども記載しておきましょう。
読む側が「どのような考え方を持った会社なのか」とイメージできるので、共感を抱いた会社は応募してみたくなるでしょう。

②紹介を受ける

2つ目は、関係者から紹介を受けることです。

たとえば案件を受注したタイミングで、職人やこれまでに付き合いのある協力会社などから紹介してもらうのも一つの方法です。コストをかけずに、信頼できるパートナーとつながる可能性が高いといえます。

しかし、紹介を待っているだけではなかなか見つからない場合もあるので、ほかの施策も同時に行いましょう。

③マッチングサービスを利用する

3つ目は、建設会社が協力会社を探すためのマッチングサービスの利用です。

急な人手不足でも、「地域」「工種」など条件を入力すれば、必要なスキルやリソースを持つ協力会社が迅速に見つかる可能性があります。

④交流イベントに参加する

4つ目は、交流イベントに参加することです。

地域の商工会議所や、金融機関が開催する交流イベントに参加すれば、新しい人脈ができ、協力会社とつながりができる場合があります。
その場で担当者と直接会って話すことができ、複数の相手と出会えるので効率的です。

日頃から、地域内の交流イベントをチェックしておき、積極的に参加してみましょう。

3.建設業界で協力会社を選ぶポイント

次に、協力会社を選ぶ際の4つのポイントを詳しく紹介します。

①専門性と対応範囲

まずは協力会社の専門性と対応範囲を確認しましょう。
協力会社がホームページを公開していれば、事業内容が記載されているはずです。
実績などを見て、品質に問題がないか、安心して現場対応を任せられるかを確認することが大切です。

②豊富な実績

過去の実績一覧を、よく確認しましょう。
協力会社がどのような技術力やノウハウを持っているか、具体的にわかります。たとえば、得意な工法や対応経験のある建築物をチェックすると良いでしょう。

実績一覧は、会社のホームページに記載されているケースが多いので、実際にコンタクトを取る前に見ておくのがおすすめです。

③コンプライアンス意識の高さ

コンプライアンス意識が高く、決められたルールに則り業務を遂行するかどうかも見極める必要があります。

建設業で仕事を進めていくうえでは、高い技術力だけでなく、現場でのスムーズなコミュニケーションや、安全確保も重要なポイントです。
コンプライアンス意識が低い会社であれば、同じ目線で作業遂行ができず、事故やトラブルの原因となるリスクがあります。

④コミュニケーションの取りやすさ

建設業は、複数の会社による協業が前提となっているため、円滑に現場運営を進めるにはコミュニケーションの取りやすさも重要なポイントです。

「情報共有が滞りがち」「レスポンスが遅い」などの場合には、施工プロセスが遅延する恐れもあるので注意が必要です。

そこで、はじめてコンタクトを取ったときのレスポンスの良さを重視すると良いでしょう。
実際に会って打ち合わせの場を設け、相手の仕事への考え方や、現場運営で大事にしていることなどを聞き出すのもおすすめです。

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4.建設業界で協力会社と信頼関係を築く方法

求める協力会社が見つかったら、次のステップとして信頼関係を築いていくことが重要です。
ポイントを具体的に解説します。

①適正な契約を結ぶ

協力会社と信頼関係を構築するために、適正な契約を結びましょう。

協力会社は単なる下請ではなく、現場におけるチームの一員で、ビジネスパートナーです。
しかしながら従来の建設業の構造では、下請にしわ寄せが来る状況が多発していました。

たとえば追加工事の費用を負担させたり、着工時期の遅延でスケジュールが伸びて赤字が発生したりするなど、下請業者は不当な扱いを受けているケースも残念ながら多かったといえます。

そこで近年、建設業法が改正され、著しく短い工期の禁止や、不利益取り扱いの禁止などが提示されました。
対等な立場で適正な契約を結び、口約束ではなく契約内容を事前に書面で明確にするよう求められるようになったのです。

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【2020年10月・2023年1月施行】建設業法改正の概要を解説

②優秀な協力会社を表彰する

優秀な協力会社を年次などで表彰することで、信頼関係の構築につながります。
自社のホームページで写真付きで会社名を公表して表彰すると効果的です。

たとえば、安全衛生管理や技術力・品質向上などに積極的に取り組んだ協力会社に対し、表彰して感謝の意を定期的に示すことで、協力会社のモチベーションも高まります。次第に良い関係が育まれていくでしょう。

③コミュニケーションをしっかりと取る

日頃から現場でコミュニケーションを密に取ることも大切です。
伝達事項の抜け漏れや、齟齬を回避でき、仕事を円滑に進められるでしょう。

伝達事項は口頭、電話、メモを活用するよりは、「施工管理アプリ」などのITツール活用がおすすめです。
施工管理アプリとは、建設・土木現場を想定したアプリで、工事写真や図面の管理、工程表や日報などひとまとめに管理できます。
現場関係者はアプリにアクセスすればいつでも最新情報がわかる、というものです。

協力会社をゲストユーザーとして招待できるアプリを利用すれば、資料共有や連絡の迅速化につながります。
「社内」と「社外」でアクセス権限を制限できる場合もあるので、機密情報は安全に管理できます。

また、動画・写真を共有できるアプリなら、リアルタイムで現場の確認も可能になります。
SNSやLINEのようにリアクションを付けられるので、わざわざ毎回長文の返信メールを書かなくても、気軽にコミュニケーションを取りやすくなるでしょう。

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無料版あり|建設現場で活躍する代表的な施工管理アプリ7選を徹底比較

5.協力会社と情報共有が促進される施工管理アプリならConne

協力会社との情報共有の促進に、施工管理アプリ「現場クラウドConnne」がおすすめです。
「誰にとっても使いやすい」を目指して開発した、シンプルなアプリです。
アプリ開発側が建設業に精通しており、安心のサポート体制を提供している点も特長の一つです。

図面・写真などの大容量ファイルを簡単に共有でき、作業員・重機のスケジュール管理・共有も手軽に行えます。
たとえば安全書類の作成で協力会社の担当者に修正箇所を伝える場合、従来であれば何度も直接会って、指導する必要があるかもしれません。
現場の規模が大きく、協力会社の数が増えるとさらに手間がかかってしまうでしょう。

そのような場面で「現場クラウドConne」を活用すると、協力会社をゲストとして招待し、Conne内でデータのやり取りができます。
確認もConne内で行えるため、直接会ったり電話したりする必要はなくなります。

協力会社との連絡が迅速化すれば、工期遅れの防止や、関係者間での信頼関係の構築につながる点が大きなメリットです。

①【導入事例】協力会社とスムーズな連携を実現|株式会社本山建設

総合建築業「株式会社本山建設」では、進捗状況共有のための工程会議が負担となっていました。
そこで「現場クラウドConne」を導入したところ、簡単に進捗報告ができるようになりました。
協力会社とも図面や工程表などのスムーズな情報共有が実現し、社員が現場に集中できるようになった事例です。

株式会社本山建設の導入事例はこちらから >>

②【導入事例】協力会社ごとに文書をドライブ管理|株式会社マリン工業

港湾工事を手掛ける「株式会社マリン工業」では、メールで書類をやり取りする手間が課題となっていました。

そこで「現場クラウドConne」を導入し、現場関係者がアクセスできるスペース(情報の格納場所)を作成。
協力会社が必要書類をアプリ上にアップロードできる仕組みを活用したことで、業務効率化が進みました。

株式会社マリン工業の導入事例はこちらから >>

6.まとめ

現場運営を円滑にし、一つのプロジェクトを成功させるには、信頼できる協力会社の存在が欠かせません。

信頼関係を構築し、専門知識やリソースなどの強みを最大限に活かして弱点を補い合うことができれば、自社単独では困難な目標も実現できるでしょう。

協力会社との関係を育むためには、コミュニケーションと情報の透明性が不可欠です。
現場関係者とのコミュニケーションを円滑にするアプリの活用も、ぜひ検討してみてください。

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